ハインリッヒ・ベネッシュとその息子オットーの紹介


 ハインリッヒ・ベネッシュ(Heinrich Benesch, 1862~1947)は,南部鉄道の総監督であった。官吏としての限られた収入の中から,自分の美術コレクションのために相当の金額を費やした。
 1908年に開催されたクロスターノイブルクの修道院における展覧会で,ベネッシュは小さな油彩の風景画に注目した。それが,シーレの作品と初めての出会いであった。ベネッシュはシーレに対し無私の愛情を注ぎ,可能な限り作品を買い,金を融通し,助言を与えた。ノイレングバッハ事件のときも,ザンクト・ペルテンまでシーレを迎えに行った。
 息子オットー・ベネッシュ(Otto Benesch, 1896~1964)は美術史家で,ウィーン大学で学びレンブラント研究者として有名である。フランス,英国などに亡命した後,第二次世界大戦後,1947年から1962年までシーレの素描を多く所蔵しているウィーンにあるアルベルティーナの館長を務めた。 また, シーレの作品をオーストリアの公的コレクションとするのにも貢献した。
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