踊り子モアの紹介


 詩とパントマイムでシーレに影響を与えたと言われるエルヴィン・オーゼンの女友達。本名はナフイムール,通称モア(Mao)と呼ばれていた。 近東出身と伝えられていた踊り子であり,オーゼンと一緒にパントマイマーとして寄席に出ていた。1911年,オーゼンによりシーレに紹介される。

 レスラーによると,彼女は,「小枝のように細く,骨白の顔には仮面のような表情を宿していた。髪は漆黒で,エジプトの王女のような容貌をしていた・・・・。 彼女の真っ黒で憂いをたたえた眼は,睫の長い,青と茶色で隈を取った瞼の下で鋭く輝いていた。声はがらがらだが,甘い響きがあった・・・・。 こうした特徴のすべては,タヒチ出身のヴァヒネを想わせる名前と相乗してシーレの芸術家としての心を完全に魅了したのであった。」  フランク・ウィットフォード著,八重樫春樹訳,エゴン・シーレ,講談社発行(1984)から抜粋
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