家 族
 (2003/12~05/7宮崎郁子制作)

 エゴンシーレ作品
 家族(うずくまるカップル)
 The Family(Squatting Couple)
 独;Die Familie (Kuerndes Menschenpaar),1918
 キャンバスに油彩,152.5×162.5㎝,
 オーストリアギャラリー,ウィーン 所蔵の立体作品です。


 ◎ 素材
 発泡スチロール,石塑,ガーゼ,和紙,麻繊維,麻布,綿布,ドールアイ 
 ◎ 3体組み立て時サイズ
 約150×140×165㎝,固定ポーズ

 シーレ最晩年の傑作であるこの油彩画は,最初「うずくまるカップル」という題名で仕上げられ,一度美術展に出品されていたようです。
 その時には,子供のところに花束が描かれていたとシーレの義姉アデーレが証言しています。
 妻エディットの妊娠を知り,後からこどもが描き加えられたようです。一見幸せそうなエゴン・シーレ一家に見えますが, このような過程を経て描かれたこの家族は,男はシーレ自身ですが,女は妻エディットではなく,子供もモデルは妹ゲルティの息子です。 実際,妻エディットは,スペイン風邪により妊娠6ヶ月で亡くなってしまったので,子供は生まれてこなかったのです。
 シーレの作品を立体におこす時,素描の場合は,どんなにデフォルメされていても,つじつまがあっていて,非常に立体にしやすいという気がしています。 ところが,この「家族」はその逆でした。原画をよく見てください。まず,原画のように作ろうとすると,シーレの左足は胴体につながらず離れてしまいます。 そして,女の両足も完全に胴体から離れてつながりません。子供に至っては,平面では可能でしょうが,立体にしようとすると胴体の入る空間がありません。 どのように収めたつもりだったのでしょうか。絵としては支離滅裂です。一時,原画のように体をバラバラにして作ることも考えましたが, あまりにも説明的過ぎ,自分の意図とするところと変わってくるので,なんとか繋がりを考えて立体化しました。
 この作品に限らず,このころ描かれてた大型の油彩画の人物は,よく見ると上半身と下半身がつながっていないものが見受けられます。 初期の頃の作品から比べると,凡庸になってしまったといわれている後期の作品ですが,シーレはセザンヌやピカソのようになにか新しい試みをしていたに違いありません。 ただし,初期の作品に比べ,晩年のシーレの油彩画は伝統的とも思われるような,堂々としてたくましい身体表現となっていることは確かです。
 この「家族」が描かれた頃,シーレは「マウソレウム」と言う絵画館付の霊廟の建設計画を練っていて,この「家族」をはじめとした裸の男女の大型油彩画 (どこかゴーギャンを思い浮かべさせられるような・・・。ゴーギャンとシーレは正反対のように思われていますが,シーレは若い頃から, ゴーギャンの影響を受けていたように思います。)を設置する計画だったようです。 この霊廟は亡き父アドルフのためだったのではないでしょうか。シーレは母親からいつも父のお墓のことで責められ,気にしていました。




 この男だけは,確実にシーレの自画像です。


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