オーゼンとモア
  (2005宮崎郁子制作)

   オーゼン

   モア

 2006年1月,スパンアートギャラリーでの個展のために,2体を組み合わせたものを「家族」の影の部分として制作しました。

 1911年頃(シーレ21歳),オーゼン(パントマイマー)とモア(踊り子)は,コンビを組んでウィーンのカバレット(寄席)に出演していました。 独特の身体表現など若い シーレに大いに影響を与えたオーゼンと,おそらく最晩年まで,魅了され続けたのではないかと思われる黒髪を持ったモア (インドネシア出身とも伝えられる。)です。

 今回私がつくったオーゼンは,当時ウィーンで撮影されたと思われる,カバレット出演の扮装のオーゼンとモアの二人が写った写真からです。 残念ながら,モアはこの写真からではありません。素描(1911)を立体におこしました。
 家族像の陰の部分としてのオーゼンとモアです。家族像が裸なので,こちらは服を着せる予定でしたが, ギリギリで生きている人間の存在理由のようなものを表現するには,やはり変なごまかしは良くないので,服ははぎ取ることにしました。 しかし,オーゼンもモアも華やかな世界に生きた人なので,アクセサリーははずせないという設定にしました。
 でも,出来上がったオーゼン人形は,想像していたようにはならず,とても善人そうなオーゼンさんになってしまいました。
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