ウィーン旅行の報告

シーレのお墓

 今回のウィーン旅行(2002/11/19-26)は,シーレのアトリエ・住居場所の確認とお墓参りが目的でした。 このコーナーでは,シーレのお墓についてお話しします。
 シーレのお墓は,ウィーン西方のオーバー・ザンクト・ファイト墓地(Friedhof Ober St.Veit)にあります。 日本で入手できる観光案内の地図では載っていないので,インターネット上の Schnelle Suche bei plan.at(http://www.plan.at/suche/)及び Wien Grafik Adresssuche(http://www.wien.gv.at/wiengrafik/suche.htm) から入手しました。

○ ウィーン周辺図

 ピンク部分がウィーン市で,オーバー・ザンクト・ファイトは ① のあたりです。


○ ウィーン13区周辺図

① オーバー・ザンクト・ファイト墓地(Friedhof Ober St.Veit)

  シーレ夫妻の墓がある。


② ヒーツィング墓地(Friedhof Hietzing)

  クリムトの墓がある。


③ ウィーン13区ヒーツィンガハウプトシュトラッセ101

   (Hietzinger Hauptstr.101)
  一番長く住んでいたシーレのアトリエ兼住居です。


③'ウィーン13区ヒーツィンガハウプトシュトラッセ114

   (Hietzinger Hauptstr.114)
  101番地の真向かい。妻エディットの実家の位置です。


④ ウィーン13区ヴァットマンガッセ6(Wattmanng.6)

  シーレが,最後に住んでいた一戸建住居付アトリエの位置です。


⑤ ウィーン13区 Feldmuhlgasse 11

   クリムト・ヴィラ(Klimt- Villa)

  クリムトの最後のアトリエ(1912-1918)の位置です。


⑥ 地下鉄4番線オーバー・ザンクト・ファイト駅

  シェーン・ブルン駅から4つ目の駅です。

  地図上の線の説明
 ○黄緑の線:地下鉄(U4) 
 ○青の電車線:国電(S15)
 ○マゼンタの電車線:国電(R50)
 ○青の線:市電
 ○水色の線:バス路線


◎ シーレ夫妻のお墓

 ○ 墓地周辺
   (墓地から東方向へ向かって撮影)
 地下鉄4番線(U4)のシェーン・ブルン駅から4つ目のオーバー・ザンクト・ファイト駅から,歩いてシーレのお墓に向かいました。 道は緩やかな上り坂で,ゆっくり歩いても30分ほどの道のりです。
 周辺は,とても静かな住宅地で,墓地の入り口の向かいには小さな花屋さんがありました。 23ユーロで小さなリースを買い,墓地に入りました。


 ○ オーバー・ザンクト・ファイト墓地
   (Friedhof Ober St.Veit)
 入り口の掲示板には,アルファベット順に人名が列んでいて,番号でお墓の位置がわかるようになっている紙が貼ってあります。
 左図の青矢印の位置にシーレのお墓があります。


○ オーバー・ザンクト・ファイト
  墓地入口南周辺
  (一番左が入口)
 シーレの作品は,死を連想させるものが多いのですが,荒涼とした墓地そのものも何枚か描いています。 14歳のとき,父アドルフの梅毒の進行性麻痺による 狂死が彼のその後の死生観に大きく影響したといわれています。
 右の写真の塀の向こうがシーレの墓地です。葉を落とした木々がまるでシーレが描く木々のように寂しげで不安な情景を醸し出しています。
 しかし,午前中に訪れた墓地内部は,朝靄に包まれた木々や花が感動するほど美しく, 思わずシャッターを切りました。(下の写真)

○ 墓地内部
   (写真左側の木立の向こう側にシーレ夫妻の墓があります。)


○ シーレ夫妻のお墓

 シーレのお墓は思ったより大きく,高さが2m近くあるように思えました。また,かなり風化してきているように思えます。
 ハンガリー出身の彫刻家ベンヤミン・フェレンツィ(1890-1967)が,1928年に制作したレリーフの石彫だそうです。



◎ ミュージアム・クォーター・ウィーン

 左下写真は,2001年にオープンしたミュージアム・クォーター・ウィーン(略称:MQ) の正面建物です。この建物の中庭には,クンストハレ・ウィーンをはさんで, 白い石灰岩のレオポルト美術館とダークグレーの玄武岩で造られた近代美術館が好対照です。
 街灯に,シーレが描いたエディットの肖像画で飾られたレオポルト美術館のポスターが掛けられていました。 右下に,拡大しました。

 ○ MQの周辺
   (クリーム色の建物が全てMQ)
 ○ レオポルト美術館のポスター
 


○ レオポルト美術館
 世界最大のエゴン・シーレ・コレクションは,作品数200点にのぼるといわれています。そのほか,クリムト,ココシュカ, ゲルストル,1900年前後にデザインされた「ウィーン工房」の家具や工芸品などが展示されています。
 このとき(2002/11/21)は,地下でアルフレッド・クビン展が開催されていました。
 ミュージアム・ショップも充実しています。



 ○ クンストハレ・ウィーン
 ここでは,カフェ・レストラン「ハレ」で昼食を取りました。メニューから適当に選んだら,テニス・ボール大の緑のお団子3個に ホワイト・ソースがかかっている様なものが出てきました。モチモチ感がありましたが,一体何だったのでしょうか。しかし,なかなか 居心地の良いレストランでした。
 “Lieber Maler, male mir…”Radikaler Realismus nach Picabia という展覧会が開かれていました。


○  MUMOK-近代美術館ルートヴィヒ・コレクション
 近代美術館は5階建てで,ジャコメティ,ウォーホール,草間弥生などが展示されていました。 監視員のお兄さんがとてもフレンドリーでした。
 ウィークデーには,入館者が実に少なく,どの館も貸し切り状態でした。
 保守的なウィーンにしては,これら3つの美術館は展示物も実に刺激的です。


 次回は,クリムトの最後のアトリエとお墓の報告をします。



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