トゥルンへ  (位置


☆ トゥルンシュタットへ

 今回の旅行の目的は,エゴンシーレの生家があるトゥルン(Tulln), エゴンシーレ博物館(Egon Schiele Museum)のあるトゥルンシュタット(Tulln-Stadt)へ行くことでした。
 私は,海外旅行に慣れている訳でもなく,英語もドイツ語もあまり話せません。シーレがどんな所で生まれ,育ち,生活をしたのか, また,シーレが描いた作品が見たいという一心で,ウィーン旅行は,今回で3回目です。
 ウィーン市内から出るのは初めてなので,うまくたどり着けるかどうか,不安と緊張で日本を出発する時から胃痛がしていました。 ウィーンに着いた翌朝,トゥルンシュタットへ行くための出発駅,フランツヨーゼフ駅に向かいました。 ウィーンカードを見せて(ウイーン市内はカードで乗り放題なので),トゥルンシュタットまでの切符(4.4ユーロ)を買いました。 ゆっくりとした簡潔な英語でホームと乗換駅を駅員が教えてくれました。 各駅停車の電車もあるようですが,この時乗れる電車は準急だったのでトゥルンで乗り換えです。
 電車が走り出し,駅構内を出てすぐにフンデルトヴァッサーデザインのゴミ焼却場が右手に見えました。まもなく,車掌さんが検札に来ました。 地下鉄や路面電車と違い,お客が乗ったらすぐに検札にやってくるようです。ウィーンカードを持っていれば,切符を買わずに乗って, 車掌さんから買うこともできるようです。
 フランツ・ヨーゼフ駅からE準急(快速)で3つ目の停車駅トゥルンまで26分, 各駅停車のSバーンでは,15番目の駅で,44分もかかります。


 ○ 車窓風景
 電車の右側にドナウ川が流れています。


○ 車窓風景
 所々,住宅地があるがほとんどこのような田園風景です。

 ドナウ川に沿ったり,離れたりしながら,のどかな田園風景を車窓に見ながら,トゥルンに到着。 この駅舎がシーレの生家なのですが,先にシーレ博物館に行く予定なので,R(普通電車)に乗り換えて,約2分で次の駅トゥルンシュタットに 到着しました。


☆ エゴンシーレ博物館
   (Egon Schiele Museum)
  (HP, 位置
          ObjekteでEgon Schiele-Museumを検索のこと 

○ エゴンシーレ博物館の案内版 

 駅を出ると目の前にEgon Schiele Museum の案内板が見えます(上から2番目)ここを左に行くと商店街です。

 ○ マリア像
○ トゥルンシュタットの商店街

 商店街をずーっと真っ直ぐ行くと噴水の所にマリア像のあるラートハウス広場 Rathausplatz があります。 そのまま真っ直ぐドナウ河畔まで出ると右手にエゴン・シーレ博物館があります。駅からここまで約 500メートルです。
 博物館の前には,なんとシーレ像が建っていました。 こういうものがあるとは思ってもいなかったので,本当に喜んでしまいました。 シーレが立体になっているのですからね。私のイメージを壊さないものでした。
 ここまで来たかいがあったと思いながら,博物館の門を開けようとしましたが,閉まっているのです。 中に明かりが点いていて人はいるようです。インターホンを何度も鳴らしてみましたが,反応はありません。 まだ10時をすぎたばかりだったので,11時にもう一度来てみようと思い直し,商店街へ引き返しました。

○ エゴン・シーレ像
 (後から) 
○ エゴン・シーレ像
 (前から) 


 ドナウからの凍り付くような吹きさらしの風で身も心も冷え込んで,あてもなくぶらぶらしてました。
 古いレコードを売っている店があり, ウインドウを覗いていたら,中からおじさんが出てきて,誘われるまま,お店の中に入りました。 お店の中には,エッチングがあちこちに飾られていて,それを私にくれるというのです。
 突然のことで,最初,よくわからなかったのですが,“Your work ?”と聞くと“Yes!”と返ってきました。 “Are you a artist ?” “(あなたにお会いできて) So happy !”おじさんも“Happy !”と言い, お互いに片言の英語とドイツ語で大いに盛り上がりました。東京に住んでいるのかとか,自分は3年前, 中国旅行をしたとか,かなりの東洋好きの人のようでした。
 最後にゆっくりと丁寧な ドイツ語で別れの挨拶をしてくれ,日本語で「さよなら」と言ってくれたので, 私はドイツ語で「アウフヴィーダーゼーエン」と言いました。
 本当にまた行くから,待っててね。

○ おじさんのお店のショーウインドウ
 ウィンドウの反射で右端の真ん中あたりにおじさんがうっすらと写っています。
 左の下に頂いたようなエッチングも見えます。


エゴン・シーレ博物館

 身も心も温まり,再びシーレ博物館へ。なんと1時間前にはなかった張り紙が・・・


11月22日~2月28日まで休館

 事前に調べたところによると11月30日まで開館 しているはずでした。 わたしがウィーンについた11月23日から急に暖かくなり,晴天にも恵まれたのですが, 前日まで雪の降る氷点下の寒い日が続いていたのでたぶん休館を早めたのでしょう。 ウイーン(トゥルンですが) ではありえることです。
 これこそウィーンでよく言うKann sein 「カン ザ~イン」(ま,ありえることだね。)
 ま,こんなもんかと気を取り直し,駅まで戻りました。 ここは無人駅です。自動販売機で切符を買います。 ドイツ語と英語が選べます。行き先は自分で入力します。最初はできないかと思いましたが, ゆっくりと落ち着いてやれば,なんでも出来るものですね。
 壁に貼ってある時刻表を見て,トゥルンへ。でも,ここは各駅停車の駅なので方向 さえ間違えなければ, どれに乗ってもOKです,たぶん・・・。2分しか乗らないのに1.5ユーロ。歩いても20~30分で行けるのかもしれません。


☆ トゥルン駅 

○ 駅 舎(エゴンシーレ通りから撮影)

 トゥルン駅到着。ここの駅舎の2階(上の写真では左端)がシーレの生家です。 ここは電車の中から駅舎をみることが出来ればいいと思っていましたが,旅行の直前になって, 7月8月には記念館としてシーレ誕生の部屋が公開されているのを知り,降りてみることにしました。
 結構立派な駅なのですが,やはり無人駅のようなので,聞く人もいないし,扉も開いたので,2階に上がってみました。 突き当たりにドアがあいて,明かりが点いた部屋があったので,行ってみると男の人が2人パソコンで仕事をしていました。 悪いなとは思いましたが,私もここまで来てなにもしないで帰るのは,悔しかったので,「シーレの部屋はどこですか?」ときいてみました。 やれやれと言う顔をしながらも,親切そうにわざわざ でてきてくれて, 「むこうのつきあたりの2部屋が公開されている部屋ですけど,今は休館です。」と説明してくれました。 ほんとうにありがとう!
  みんななんて親切なんでしょう。いつになるかわからないけど,また,夏に来るからね。


○ エゴン・シーレ通り Egon Schiele Gasse
  (トゥルン駅から撮影)




○ トゥルン駅構内(ホームから撮影)

 切符はまた自動販売機で買いました。Kahlenbergerdorfからはウィーンカードが使えるのでそこまでの切符を買いましたが,4.5ユーロでした。 行きはトゥルンシュタットまでが4.4ユーロだったのは,駅員さんから通しで買ったからでしょう。
 帰りの電車の中では,これでもう一度トゥルンへ来なくてはいけない理由ができたと,力がわいてきました。
 電車の車掌さんはみんなとてもおおらかで親切で好印象でした。目的は果たせなかったのですが,とても気分よく帰りました。



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