☆ 展示会のお礼と報告

◎ グループ展

  第9回 犬島時間

と き  : 2012年4月28日(土)~5月6日(日)
       11:00~16:30
ところ  : 岡山県岡山市東区犬島内各所

 「犬島時間」無事終了しました。今回の展示は,私の今までの総決算ともいえるものになりました。
 メインになる古民家の中ですが,「犬島時間」には,人生を経たお年寄りの人形がふさわしいと考えていましたので, 2,3年前からすこしづつ作り続けていた「ヨハン・ハルムス」を大急ぎで仕上げることにしました。

 

 ヨハンさんは靴を履いているので, 土間に置こうと考えていました。 しかし,土間から見た部屋は,かなりの高さがあり,まるで客席から見る舞台のようでした。 そこでヨハンさんに舞台俳優のようになってもらおうと思ったわけです。床の間の前のヨハンさんは, まるで昔からそこにいたようにしっくりと馴染み, 設置したとたん,私自身,大変興奮しました。 人生のなかで,めったに味わえないすばらしい体験でした。

 

 「新生児」は,犬島にぜひとも必要と考え,祈るような気持ちでつくり,開催日ぎりぎりで出来上がりました。
 見てくださる人たちが口々に「この赤ちゃんは,あのおじいさんが生まれた時のことでしょう?」と言われるのでそうかもしれないと思いました。 人間が生まれてから死ぬまでの時間の流れ,ひいては生命の循環まで感じて頂けたのではないかと思っています。

 

 格子戸の向こう側にガラス戸があり,そこからの光が美しいので,一番シーレらしい「Black Haird Girl」を置くことにしました。 格子で見えにくいのもとても良いです。

 

 最初に会場を見に行った時,庭が鬱蒼とした森のように思え,「マリア・ベール」と,箱につめた小さな人形たちをぜひとも木々に飾りたいと 即座に決めました。
 マリア・ベールにくっついている小人形は,原画に描かれているものを再現し,これ以外に7体作り,家や納屋の軒先,郵便受け, 井戸のバケツの中など配置。お客さんたちも探すことを大いに楽しんでくれていました。
 

 写真のような箱もしくは家型の箱は,雨ざらしになっていた古い戸板を1枚解体して9個作りました。 箱の中の小人形は,割り箸に古布団綿をボンドで固めて顔にして古布を巻いて洋服にしました。これを数体ずつ箱に収め, 庭のあちこちに配置しました。
 こちらはシーレ作品そのままの再現ではありませんが,《森の社》(1915年シーレ作)からインスピレーションを受け, 犬島向けにアレンジしたものです。この小人形は,東日本大震災以来,作り続けているもので, 今までに100体ほど作りました。

 

「犬島時間」という機会を与えてくださった青地さんをはじめ,島民の皆さん,全国から手弁当で集まってくださったボランティアの方たち, 出展作家の方々,そして遠路はるばる犬島まで見に来てくださった方々,本当にありがとうございました。
 また,新たな境地でつくることができればと思っています。どうぞこれからも応援してくださいますようよろしくお願いいたします。

  2012年5月12日
                   宮崎郁子

2012.5.12


☆ 今後の予定

◎ グループ展

  第9回 犬島時間
    2004年から,毎年,犬島で行われている
    アートイベントに参加させていただくことに
    なりました。

と き  : 2012年4月28日(土)~5月6日(日)
       11:00~16:30
ところ  : 岡山県岡山市東区犬島内各所
鑑賞料  : 500円 12歳以下無料
           (ただし,大人との同伴に限る。)

 ぼくは感じる,そこには神様がいる
             エゴン・シーレ


  エゴン・シーレは,息苦しいウィーンをのがれて,田園生活にたいへんあこがれていました。そして, 母の出身地であるクルマウ(チェスキークルムロフ)に居を構え,アートの聖地にしようとさえ考えていました。 計画はことごとく失敗に終わるわけですが,終生田園生活にあこがれを持っていました。
 今回,アートの島犬島で展示ができるということは,運命のように思います。
 決定したのが,開催3ヶ月前。どれくらいのことができるかわかりませんが, 精一杯のことをさせて頂こうと思っています。


 私が犬島を巡り,抱いた印象ですが,島での暮らしはおだやかでのんびりしているように思えますが, 過酷でもあり,人生の縮図のようでもあるということです。
 そして,自然の中には神様がいる。
 これほど,シーレにふさわしい場所があるでしょうか。
 私は,ここ犬島でシーレを語りたいと思います。

 晴天に限り庭にも展示予定です。
 6畳間の二間続きとその縁側が展示スペースになります。


 今回のための新作「ヨハン・ハルムス」(制作途中)です。 ヨハンは,シーレの妻エディットの父で,74才の時の肖像画から立体にしました。
 もう1体,「新生児」(1910 シーレ作)から制作予定です。間に合いますように!

2012.3.19



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