フリーデリケ・マリア・ベールの紹介

 


  
 フリーデリケ・マリア・ベール(1891~1981)
 フリーデリケはウィーンにあった「ゲルベ・バー」と「カイザー・バー」(1区クルーガーシュトラッセ3番地) という上流階級向けのナイトバーの所有者を父をもつ裕福で教養あるユダヤ人でウィーン工房の熱狂的ファンであった。 洋服など身につけるものすべてと家具などもすべてウィーン工房のもので調えていた。経済的に逼迫していたシーレは, ウィーン工房からハインリッヒ・べーラーを紹介され,シーレは彼の専属教師となった。
 ハインリッヒは,シーレの作品収集もして,後に戦争が終わるまで月々給料を渡していた。そのハインリッヒの従兄弟で, 当時そこそこ評価されていた画家ハンス・ベーラーもシーレ作品を買い,その恋人であったフリーデリケ・マリア・ベールは, シーレに等身大の肖像画を依頼し,謝礼が600クローネ支払われている。2年後1916年には,ハンス・ベーラーから フリーデリケにクリスマスプレゼントとして,クリムト作の彼女の肖像が贈られ,クリムトへの謝礼は6000クローネだったと言われている。
 フリーデリケは,1918年から1920年まで,グスタフ・ネベハイの画廊で働き,ネベハイの手に委ねられていたクリムトの 素描の大部分に遺作印を押すという仕事を特に任されていた。1938年以降,彼女は長年,ニューヨーク西13番街113番地でアーティスツ・ ギャラリーを経営していた。そして,1960年代末,シーレとクリムトが描いた自身の肖像画を売却して,ハワイの養護施設で満ち足りた生活をおくった。

参考文献
 エゴン・シーレ フランク・ウィット・フォード著 八重樫春樹訳 河出書房新社
 エゴン・シーレ ドローイング水彩画作品集 ジャン・カリアー 新潮社
 エゴン・シーレスケッチから作品へ クリスティアン・M・ネベハイ著 水沢勉訳 リブロポート
 エゴン・シーレ  ヴォルフガング・ゲオルク・フィッシャー著 タッシェン 
  
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